156センチの視線

2022年3月13日「父なる神の愛」

 家族がコロナの陽性と判明してから、2チームに別れた生活を送りました。階上には妻と息子、階下には娘と私です。食事は私が作り、上に運ぶのは娘です。やがて、多くの方々から差し入れが届くようになり、とても助かりました。
 数日後、家族でPCR検査を受けましたが、全員が陰性でした。何よりも、コロナにかかった息子がすぐに元気を取り戻したのが一番でした。これには、背後にある力強い祈りの輪を感じざるを得ませんでした。
 1878年、イングランドの王女アリスの息子がジフテリアにかかりました。ある時、隔離された息子の病室の前を通りかかったアリス王女は、「なんでお母様はキスしてくれなくなったの」と看護師に話す息子の声を聞きました。いたたまれなくなった王女は病室に入り、息子に何度も何度もキスをしました。数日後、感染した王女は息を引き取ったのです。
 今回、息子がコロナにかかり、思い出した話です。死んでもいい、と思えるほどに愛する。それはまさに親の愛であり、父なる神の愛と重なります。毎日抱っこし、キスしていた息子に近づくことも、触れることもできない数日間は、まさに地獄でした。耐えきれず、頭を撫でるために締め切られた部屋にマスクをして侵入です。主も耐えきれず、天から地に来られたのです。