156センチの視線

4月12日「復活の朝に」

 今月から、月一回だった刑務所教誨が、月二回になりました。受け持ったことのないクラスに向かうとき、
はじめて刑務所でクラスを受け持った時の緊張感が蘇ってきました。
 部屋を開けてみると、7名の方がいらっしゃいました。とても明るい雰囲気の方々でしたが、お一人だけ口数の少ない方が部屋の隅に座っていました。自己紹介を兼ねて、私がどのようにキリストに出会ったか、モーセの召命と同様に、主の招きを受けたことを語りました。
 先ほどまで明るい雰囲気に包まれていたクラスが静まり返り、話し終えた私は「シラケてしまったかな」と不安になりました。
 すると、あの口数の少なかった方がこう言いました。「私はこれから教会に行って人生をやり直そうと決心しました。今伺った、モーセのように。」とおっしゃったのです。
 主は、何度も何度も過ちを繰り返し、どうにもならない私を救い、今、人生を悔いて、もう一度やり直したいと願う方に語りかけたのです。
 その方は言いました。「出所したら、住み慣れた故郷を離れます。また同じことをしないためです。」
 十字架を経過した復活の朝、見たこともない新しいことが芽吹いています。